近頃スパムなのか,フィッシングなのか,本気なのか判別しにくいメールをよく受け取る.「あなたの博論を出版しませんか」とオファーしてくるドイツの無名の出版社(少なくとも私は聞いたことない)とか,「linguistlistであなたのことを知りました.ぜひ我々のプロジェクトに参加してください(私の専門に全然関係ない)」とか誘ってくるアメリカの企業とか,「イラクの図書館には本が不足しています.早急にあなたの論文を全部送って下さい」といきなり要求してくる自称イラクの大学教員とか.
こういうのは,不特定多数に同じメールを送っているわけではないし,一応細かい専門領域は知らないまでも私が誰か分かって連絡してきているので,スパムとは言えないのだろう.ただ,何か詐欺めいたものがあるかどうか微妙なので,取りあえずこの手のものは全部無視することにしている.真剣に送ってきているのなら申し訳ないと思うが,やはり頼み方というのがあるだろう.
会ったこともない人間にいきなりメールでコンタクトを取るというのは,結構難しいものである.大学院生の頃,ギリシャ人の友達とケンブリッジの学会で会ったときに意気投合してYork-Essex Morphology Meeting(友人がヨーク大で,私がエセックス大にいたので)というのを立ち上げたことがある.2003年のことである.今思えば,よく学生2人であんなことしたなぁと思うのだけど,イギリス言語学会に資金援助のお願いをしたり,会ったことのない有名な学者たちにも発表に来てもらえないか交渉したので,無礼で無味乾燥になりがちな電子メールを使って,どのようにこちらの誠意と熱意を伝えるかというのを意識した.よい社会勉強になったと思う.
閑話休題.先月さらっと申請した大学内の特定研究課題助成金が採択されたと連絡がきた.ちょうどそろそろまとめに入らないとなぁ,と思っていた研究があるので,それに使わせていただこうと思っている.今年度末までのものだし,そんなに大袈裟な助成ではないので,国内学会で多少発表しようかしら.実は日本語で研究発表したことないんだよな.さて,どうしたものか.国内学会で英語で発表するというのもありなんだろうが,なんか変だしな.