実体験

早稲田は入試期間も終わり,大学も普通に開放されて,気分的にもキャンパスの風通しがよくなった(それと同時に私の研究室がある建物は耐震工事が始まってしまったが).国公立も前期入試が終わり教員の皆さんもほっと一息というところだろうか.後期がまだあるのには同情を感じるが.

今日はチリ地震による津波の警報が出るわ,雨は降るわの悪条件であったが,30万人以上が参加する東京マラソンが新宿の都庁周辺からスタートしたとのこと.私は小田急サザンタワーのFedEX Kinko’sに用があったので,研究室に寄った後その時間を避けて新宿に赴いた.幸い私が行った頃は快晴で,それほど寒くもなく空気に透明感がある清々しい気候だった.

Kinko’sで仕上がりに1時間ほどかかると言われたので,近所のドトールでコーヒーを飲みながら先日大学生協で買った森博嗣氏の『創るセンス工作の思考』を読んだ.同じ集英社新書から出ていてこのブログでも軽く触れた『自由を作る自由に生きる』と連動しているとのことであるが,個人的には『創る…』の方が楽しんで読むことができた.
私は割と手先を使って何かを作ることは好きで,幼稚園の時に夏祭りの夜店で父親に買ってもらったプラモデルをセメダインを使って必死に組み立てたのは今でもよく覚えている.その後,エルガイム,バンダイン,バイファムなんかのプラモデルを作っていて,小学校2年生のときにラジコンに興味が移りタミヤのホーネットというRCを組み立てた.その後もお小遣いを貯めて8.4Vバッテリーにテクニゴールドモーターを備えた,由良拓也氏デザインのビッグウィッグも組み立てたし,F1にはまっていたのでオンロードの1987年の中嶋悟仕様ロータスホンダも手に入れた.やっぱり通は2WDだよなどとほざきアスチュートという2輪駆動のマシンにはまっていたこともある.
こういうのはあくまで既製品の組み立てであって,森氏の言う工作には当てはまらないようだが,理想化された頭の中の世界と現実とのズレの経験という意味では多少共通するところはあるだろう.最近はコンピュータの普及もあって,比較的容易に理想化された環境というのを作り出すことができるので,所謂「実体験」というのが遠いものになりがちというのは確かである.工作的思考というのはその意味では工学分野のみならず,ある種の教養として重要なのかもしれない.

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