村上春樹が今月末に新刊を出すとのことで,予約だけですでにアマゾンに上下巻ともランクインしている.すごいなぁ.我が家も『ウォーク・ドント・ラン』みたいな廃刊のものも含めて,村上作品はすべて揃っており,今回の新刊も楽しみである(私が初めて村上作品を読んだのは小学生のときだから,20年以上も前なんだなぁ).
「村上春樹の新刊」といって思い出すのは『海辺のカフカ』である.私がイギリスで修士を終えたあたりに発刊されて,うきうきしながらbk1で日本から取り寄せたのだが,なんと私の生まれて初めての学会発表(マンチェスター工科大学で開催されたイギリス言語学会)の前日に届いたのだ.翌日は指導教官のAndrew Spencerと朝早くに待ち合わせて,一緒にマンチェスターに向かう予定だったのだが,誘惑に勝てず徹夜して上下巻読んでしまったのを覚えている.まあ,寝てないわけだから,寝坊する心配もなくよかったのかもしれない・・・.
『アフターダーク』も同様にbk1で日本から取り寄せたのだが,届いたときにちょうど奥さん(当時はまだ結婚してなかったが)がイギリスに来ていて,私が細々とした仕事をしている隙に,先に読まれてしまっていたのを覚えている.また,せっかくイギリスにいるのだから,と大学の本屋で英語翻訳版も結構買って,主要作品は全部英語でも読んだものである(The Wind-up Bird Chronicleなんて,John Irvingもびっくりするくらい長かったけど,ストーリーを知っているからか,一気に読んでしまった).
今回の新刊は金曜日発売のようだから,仕事帰りに買って帰って,週末ゆっくり読めるなぁ,と思っていたら,土日が日本英文学会だな.困ったなぁ.金曜日の夜に読んでしまいそうな気もするけど.
そういえば,村上氏は私の現勤務校の出身なんだった.先日,学生が数人『中国行きのスロウ・ボート』を持って,何やら話し合っているのを見たけど,何かの授業で使われているのかもしれない.早稲田はベンチに座って本を読んでいる学生を見ることが割と多くて,自分の学部時代を思い出して嬉しい気分になることがある.電車の中なんかでは,漫画雑誌を読んだり,携帯をいじっていたりする人が多くて,なんだがげんなりするけど,少なくとも大学はそこまで浸食されていないようで,ほっとするひとときである.