ちょっと時間が経ってしまったが,先日予約開始と同時にiPadのwifi 64GBをApple Storeで注文した.Twitterで大学生協では当分扱わないという情報が流れていて,Education Storeでも通常と同じ価格だったので,おそらく一般向け販売だけでいっぱいいっぱいなのだろう.一応奥さんに買っていいか確認したところ「買わないと,どうしようどうしようと言ってうるさいから,さっさと買ってくれ」ということだったので,遠慮なく最上級のモデルとケース,アダプタを注文させていただいた.
MacBookは重いので,これで学会出張などのときiPadだけで行けるようになるとひじょうに嬉しいのだが,まだその辺は未知数である.iPod touchだけだときつかったメールは問題ないだろう.書類もPagesでいけるかもしれない.プレゼン資料なんかは私は全部pdfなので大丈夫.LaTeXを動かすのは無理だと思うが,良いテキストエディタはそのうち出てくるのではないかと思う.あとは,期待通り本や論文が快適に読めて,電池が長持ちすればそれで十分である.5月28日が楽しみだ.
学会出張と言えば,今朝メールが来て,9月にイギリスのリーズであるLAGBで学会発表することになった.LAGBは2002年まだ修士の学生時代に,マンチェスター工科大で生まれて初めて学会発表をした私の中では中々思い出深い学会である.その後大学院生時代にシェフィールドやケンブリッジを含め3回発表したのだが,しばらくご無沙汰していて今回は実に5年振りである.本当は一昨年私の母校のエセックス大学で開催されたときや去年エディンバラ大学であったときにも発表したかったのだが,中々スケジュール上折り合いがつかず断念していたので,今年久々に発表できそうで嬉しい.元指導教官にも会えるだろうし,Joan Bybeeが招聘なので,それも楽しみである.
と考えていると,パスポートが切れていることを思い出した.今持っているものは1999年末,大学3年生の終わりから1年間オーストラリアのANUに留学するときに,生まれて初めて取得したものである(英語は使うことができたが,それまで一歩も海外に出たことがなかったのだ).改めて見てみると,当時は体重が40kg台後半のガリガリで(身長168cm),写真なんて全然身分証明になっていないくらい違う.住所もここ10年で日本国内で5回,オーストラリアで2回,イギリスで2回変わっているので,どれが正しい住所なのか分からない有様である.
ヴィザを見ていても色々思い出す.緊張しながらオーストラリア大使館でまっ更なパスポートに学生ヴィザを貼りつけてもらったり,イギリスで研究員になるときに,移民局に電話をかけまくって予約をして,早朝から夕方までまるで囚人のような扱いを受けながら面接を受けて,驚くほど高い手数料を払って発行してもらった就労ヴィザなんかが貼ってある(確かに写真付きの立派なものだが).
アメリカのフィラデルフィアのやたらしつこい入国審査や,中国系の警備員に呼び止められて訳の分からない質問をされたせいで危うく飛行機に乗り損ねそうになったことも思い出す(ヨーロッパとあまりに扱いが違うので,アメリカなんか二度と来てやるかとその時は思った.単なる運だろうけど).その他の入国印を見ると,今経済的に大変な状況にあるギリシャや,カフェがやたら大麻の匂いがするオランダ(ユトレヒトは本当に美しい街だったが),腹が立つほど物価の高いノルウェーなんかも思い出す.イギリスに住んでいると地理的にヨーロッパ諸国が近いので,割と気軽に学会でいろんな国に行かれたのは,幸運だったと思う.
そんな10年間が詰まったパスポートを更新するのも何か寂しい気がする.それにしても,日本からだとやはりヨーロッパは遠く感じる.5年近くの留学中,1度しか日本に帰国しなかった(しかもニュージーランドで学会発表する途中に寄っただけ)のも,まあうなずけるのではなかろうか,と自己正当化してみたくなる距離である.